絨緞をご自宅にてご使用いただく際、 多くの実用的な効果が見られます 。床を暖かくしてくれる、上を歩くのを快適に保つことができるだけでなく、床に見られる欠陥を隠し、へこみや損傷から床を保護してくれます。これらの実用性に加えて、絨緞はデコレーションの面でも重要な役割を果たし、お部屋をより一層美しく装飾するのに重要な要素と考えられています 。
絨緞を選ぶとき、私たちは常に絨緞の外観や全体の印象、絨緞が空間に与えるその「感触」に細心の注意を払います。絵画とほぼ同じ、手作りの絨緞はユニークな芸術作品として見ることができます。 そのユニークさと魅力の裏側に隠されている一つの背景として、絨緞が機械でなく実際に手作業で行われていることを痕跡することができる点です。言い換えれば、使用するにつれて自然に発生した傷や欠陥も、実際には絨緞に個性と魅力を追加する要素として考えられています。
こちらのブログでは、あなたの絨緞にも見られるかもしれない最も一般的な不完全さを紹介いたします。自然の過程から形成された不完全さを知ることでより一層 「世界に一枚」の絨緞に愛情が生まれることも少なくありません。
アブラッシュ
遊牧民や村絨緞は時々染色にバリエーションが見られ、絨緞全体のトーンが全て均一でない場合があります。こちらの現象は、アブラッシュと呼ばれています。これらの絨緞に使用されている糸は、村に住む織職人の自宅や郊外などの限られた条件の中で染色されているため、 アブラッシュは欠陥と見なされず、むしろ織職人のシンプルな労働条件を思い浮かぶことができる魅力的なチャーミングさとして考えられています。
ミラー効果
バランスは一般的に対称性によって得られます。伝統的な絨緞には、「ミラー効果」が一般的に見られます。ミラー効果とは、中央で絨緞を折り曲げた際に、デザインが両側で同一であるということを意味します。ある絨緞は、両側のデザインにわずかな相違が見られることもありますが、これらの違いは許容されています。
織職人の個人的なタッチ
多くの場合、遊牧民の織職人たちは自分たちの記憶を辿ってデザインを施し絨緞を織り上げていきます。織職人たちは、絨緞製造中に、より急ぎの件を優先しながら絨緞を織り上げていくため、一枚の絨緞が完了するのに、数ヶ月以上もかかることがあります。しかし、製造中に職人が絨緞に何も手をつけずに放っておくことはありません。また、仕事が再開されたとき、職人が最初にイメージしていたデザインを全く違うものに変更することも珍しくありません。
サイズと形状
完全に対称的で均一に染色されたペルシャ絨毯でも、時々、絨緞がでこぼこになったり非対称な形状になることが見られます 。これらの最も一般的な理由として、職人が製造中に無意識に強めに織機に糸をかけることが原因です。絨緞が完了する前に、職人達は、絨緞のサイズと形状を完成させる織機の型と使用する強度を変更することができます。手織り絨緞のサイズでは最大7〜8センチの変動は許容可能として考えられています。
パイルの不均一さ
絨緞製造の最後のステージの一つとして、研磨が挙げられます。研磨とは、織職人が希望する長さにカットされることを示します。研磨は通常手作業で行われるため、絨緞全体のパイルの長さを均一にカットすることが非常に困難である範囲は他の部分よりもわずかに長めにカットされていることがあります。
これらの不完全さは欠陥として検討されるかもしれませんが、手織り絨緞においては逆に実際にこれらの要素が価値を高め、魅力を増すものとして考えられます。不完全さは、何年にもわたって賞賛されるように、あなたの絨緞を素晴らしく味のある芸術作品の一つとしてお楽しみいただけるでしょう。
画像 1. コレクタブルシリーズから, ケルマン産 絨緞, 1950年代の絨緞。
画像 2. アブラッシュが特徴的な美しいロリ絨緞
画像 3. パイル糸が不均一にカットされたカイセリパティーナ絨緞